はじめに
今回はデジタルエフェクターのA/Dコンバータ入力するための前端アナログ回路について調べたりしてみた。
デジタルエフェクターを直接設計するわけではない。
音声信号をデジタル系に渡すための最低限の知識を得るためのものである。
回路構成
今回作った回路は以下の通りです。
ポイントは以下のとおりである
増幅度について
まず一個目は増幅器を二個置く理由は利得の余裕を取るという目的、波形ひずみを少なく抑えて振幅増幅するというものである。
アンチエイリアスフィルタについて
Baker's Best:アンチエイリアスフィルタの役割 - EDN Japan
二個目の2次フィルタは可聴域以上の周波数を大きくカットするためである。
これはもしサンプリング周波数が48kHzだった場合に24kHz以上の信号が入ってきた場合に折り返しノイズが発生してうまくサンプリングされないという問題がある。
詳しく知りたい方はサンプリング定理について調べてみるのが良いだろう。
今回はフィルターにVCVSフィルター(Voltage Control Voltage Source)またはSallen-keyフィルターと呼ばれているものを利用している。
この辺も今回は詳しくは説明しないので語句で調べてもらえると嬉しい。
シミュレーション結果
シミュレーションにはLTspiceを用いた。
入力正弦波は440Hzの正弦波でシミュレーションしている
観測点は赤で示した部分である。
結果はこのようになった
出力波形
初段で5倍程度の増幅を行い二段目で二倍の増幅を行っている。
この点でバイアスは印加してあるため出力波形は正の領域にある。
周波数特性
通過特性はカットオフを11kHzあたりに設定しているのでいい感じにできていると思う。(可聴域は20Hz~20kHz)
ちなみにある程度手前でカットしないと上の領域でカット度合いが上がらないためである。
この辺は結構難しくて調整しながらやっていく必要があると思う。
尚二次型なので-40dB/decとなっている正しくできていると思う。
まとめ
今回は思い付きでアナログ段をやってみたが意外にうまく作れたのではないかと思う。
以下コラムというか注意
このアナログ回路ではいかに忠実に振幅を増幅して適切な位置にバイアスを設定できるかが重要になる。
波形の頭が電源電圧またはオペアンプの上限(rail to railではない場合)に達した場合波形ひずみが生じて音が加工された状態でデジタル系統に行ってしまう。
そのため電源電圧やバイアス電圧の設定。波形のピーク値をA/Dコンバータの最大値を超えないように増幅するのも重要である。
尚アナログ段回路にはもう一個役割がありエイリアシング現象を回避する必要があるので2次型のLPFで18kHz(可聴域が20kHz前後のため)あたりでカットしてやる必要がある。