安定化電源装置(HANMATEK HM305)の紹介

HANMATEK HM305について

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今回は安定化電源装置を購入したのでそれの紹介です。
購入したのはHANMATEKのHM305という機種です。
価格はAmazonで6500円程度(商品リンク

ちなみにもう1000円ほどだすと10A仕様のものが買えるみたいですね。
https://amzn.to/3AYdMtV

主なスペックは以下の通りです。

  • 電圧 : 0 - 32V
  • 電流 : 0 - 5A
  • 表示解像度 : 電圧:0.01V , 電流0.001A
  • 電流保護機能、操作部ロック機能
  • 電源スイッチから独立したOUTPUTスイッチ
  • 幅: 80mm , 高さ : 150mm , 奥行 : 230mm

付属品は、バナナtoミノムシケーブルと電源コード
この価格にしては非常によくできていると思いますが、残念な点もいくつかあります。

  1. 付属の電源コードが貧弱であること
  2. アースGNDターミナルがない
  3. 電圧設定時のインターバルが短すぎる

付属の電源コードですがかなり細いのとアース端子がないタイプでした。
太さについては最大電力を引いたときにちょっと怖いかなという印象です。
アース端子の有無は個人宅での使用では特に問題ないのかなと思っています。
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この価格帯において残念な点を述べるのは非常にナンセンスなので問題点もろもろを理解した上で使用できる人にはお勧めです。

回路について

次に内部回路のほうを見ていこうと思います。
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中身は2枚の基板で構成されています。
ここではメインスイッチング基板、UIコントロール基板と呼ぶことにします。

まずはメインスイッチング基板から解析をしていきます。(画像はクリックで拡大可能)

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メインスイッチング基板をざっと見ていくと、メインスイッチング回路、サブ電源(制御用電源回路+FAN電源回路)、制御回路の3つに分けれます。

サブ電源

サブ電源にはSHENZHEN DONGKE SEMICONDUCTORのDK112というスイッチ素子内蔵の制御ICが使用されています。LCSCで0.24ドルで購入できるみたいです。

データシートより12Vを作るためのリファレンス回路を示します。
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回路を見る限りかなり少ない部品点数でAC85~265からDC12Vを作成できることがわかります。

AC一次側

AC一次側の回路はざっと見た感じこのようになっています。
間違ってるかもしれないのであくまで参考でお願いします。
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サーミスタ、Xキャパシタ、コモンモードチョーク、Yキャパシタ、ブリッジダイオードというようにAC一次側を構成する一般的なパーツが並んでいます。
スイッチ部はおそらくアクティブクランプ構成なのかな?と思います。

UI部分

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UIコントロール基板はFPCケーブルでメインスイッチング基板とつながっています。
マイコンはNuvoton製の8051マイコンであるN76E003AT20というものが使われています。
安めの中華機器には8051マイコンがよく使われているなと感じます。

セグメントの駆動にはTM1640という定番ICが使われています。
これは秋月とかでも購入できるので使ったことがある人が多いのではないでしょうか?

その他UI基板側で使う電源を生成するDCDC回路などが載っているようです。


同じような製品?

Aliexpressで同価格帯のものを探していたらA-BF SS-305というものを見つけました。
インターフェイス系が若干異なっており、プリセットメモリ機能がついていてよく使う電圧を保存しておけるみたいです。
どうやら32V , 5Aと出力系のスペックはHM305と同じようです。
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インターフェイスは異なりますが、仕様とか外見が非常に似ているのでまさかと思ったら・・・
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内部基板の部品レイアウトがほぼ同じですね。
リビジョンがA-BFのほうが新しいので多少は変わっているかもしれませんが・・・

こういうのは中華製品ではよくあることでどこかしらがOEMでやってるのかもしれないですね。
それでもこういった低価格帯の商品でも、UIを変えて売ればきちんと価値を付けられるといったところがすごいなと思いました。

まとめ

今回はHanmatekのHM305という電源装置を紹介しました。
6500円で案外回路がしっかりしているので電子工作を始める人向けの最初の一台にお勧めできると感じました。


技術的な面からみると中華半導体が多く使われており、これが低価格を実現していることがうかがえます。
プロセスルールがそこまで厳しくなく、定番ICみたいなのは大陸製に置き換わりつつあるのでしょう。
記事中で出てきたDK112なんかは30円なのですごいとしか言えないです・・・・


あとはUIとメインスイッチングで基板を分けることで別の製品でも使えるように共通化しているのでそういった点は参考にしたいなと思いました。
以上HANMATEKのHM305の紹介でした。
最後にこんなこと書くまでもないのですが使用上起きた問題については自己責任でお願いします。