がれすたさんのDIY日記

電子回路、Python、組み込みシステム開発、自作エフェクターを語るblog

GOKKO MANTRA ISOLATED POWER SUPPLY GK-54

購入したもの

今回紹介するのはGOKKOのMANTRA ISOLATED POWER SUPPLY GK-54です。
商品リンク(https://amzn.to/39wopYj)
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説明

特徴としては最近流行りの各出力が独立しているフルアイソレートタイプになります。
仕様は以下の通りです。

  • 入力36W:18V 2A
  • 可変出力1 : 9-12-18V/500mA
  • 可変出力2 : 9-12-15V/500mA
  • 通常出力 : 9V/300mA x 6

こうやって見ると現行風スペックのパワーサプライですが、特筆すべきは値段です。
この記事を書いている2021/09/24現在ではAmazonで3780円でした。

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同じようなスペックを持つ機種にVITAL AUDIOのPOWER CARRIER VA-08 MKIIがありますが、それの価格が9280円であることからかなりお買い得であることがわかります。
値段は二倍以上の差がありますが見た目が安っぽいということもなく付属品もしっかりしています。

アダプター、ケーブルはもちろんついているのですが極性反転ケーブルと旧RATに採用されている特殊変換ケーブルもついています。

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内部解析

商品紹介だけではこのブログ読者には申し訳ないので内部も見ていくことにします。
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まずは基板全体を眺めてみます。

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スカスカな中身を予想したのですが、しっかりと回路が組まれていそうです。
トランスが2つあり1つ当たり4出力(可変出力 x 1 + 9V x 3)を作っているみたいです。
もう少し詳しく見ていきます。

トランス一時側の回路

まずトランス1次側の回路ですがXKT-801という制御ICとXKT-1511というドライバ素子で構成されています。

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データシートは見つけられなかったのですがググるとAliexpressで販売されているワイヤレス給電モジュールが出てきます。
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ワイヤレス給電も一般に使用されているものでは磁界結合方式です。
トランスを使った絶縁コンバータも同じような仕組みで動いているので組めなくはないと思いますが、コイルの結合係数が違うので同様の使い方していいのかなと気になりました。

トランス二次側の回路

次にトランス二次側を見ていきます。
トランス一次側から送られてきた電力をブリッジダイオード(MB2S)で整流し可変レギュレータ(LM317G)でドロップし9Vを作っています。
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可変出力側は、XLSEMIのXL4001というBuckコンバータICが使用されています。
このICはAliexpressとかで売っているDCDCモジュールに載ってる定番ICなので聞いたことがあるかもしれません。
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まとめ

ワイヤレス給電系の回路が使われてたり一部??な部分もありましたが値段にしてはすごくよくできているなと感じました。
オールアイソレート出力にもなっているのでどうやってこの価格叩き出してるんだ?と思うばかりです。
以前MXRのiso-brickを解析した記事を出しましたが、ほとんどが中華ICになっていたころを考えると、最先端プロセスを使わないようなICは置き換わっていくのでしょう。

GK-54に似たような製品としてVITAL AUDIOのVA-08 MKⅡ、FIREGLOW PPS-1がありますが、出力数・可変出力の操作部も同じことからOEMということなんでしょう。

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巷ではこれらはすべてVitoosという深センの楽器メーカーOEMであると噂がされていますが中身を全て確認したわけではないので真偽は定かはないです。

おまけ

おまけ程度にこういうこともできますというのを紹介して終わろうと思います。
USBPDという規格が登場してからUSB端子から5~20Vの電圧を出せるようになったのですがそれを使った使用例みたいな感じです。
EUのほうではType-C標準過激派が話題ですが楽器界隈でもこういうのが広がるとよりスマートになるのかなと思います。

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USB PD充電器によって取り出せる電圧が決まっておりどれでもつなげるわけじゃないということに注意して下さい(どうしてもやりたいという方はUSB PDについて学習することを勧めます。)
GK-54は18V/2Aが要求されているので画像のような使用方法は使用範囲外です。
またZOOMのMS50gも500mA定格なので仕様上で言えばオーバーです。
筆者は実験前提で購入しているのでくれぐれも真似をしないようにお願いします。
くどいですがメーカー仕様範囲外での事故や故障などには一切の責任を負いませんのでご留意ください